ASTM F1387とは?――チューブ継手の性能を評価する試験規格を解説

チューブ継手を選定する際「どのメーカーの製品を採用すべきか」で悩むことは少なくありません。

カタログスペックや価格だけでは製品の信頼性を判断することは難しく特に化学プラントや半導体工場・高圧ガス設備などでは継手の性能が安全性や品質に直結します。

そこで重要な判断材料の一つとなるのがASTM F1387です。この記事ではASTM F1387の概要・試験内容・製品選定時の確認ポイントについて解説します。


ASTM F1387とは

ASTM F1387はASTM International(アメリカ材料試験協会)が制定したチューブ継手の性能試験規格です。

正式名称は以下の通りです。

“Standard Specification for Performance of Piping and Tubing Mechanically Attached Fittings”

この規格は機械的な方法でチューブや配管に接続される継手(Mechanically Attached Fittings:MAF)の性能を評価するための試験方法を定めています。一般的な計装継手やダブルフェルール継手も対象に含まれており多くのメーカーがASTM F1387への適合を品質評価の指標として採用しています。


ASTM F1387の目的

ASTM F1387の目的は継手が実際の使用環境で十分な性能を発揮できるかを客観的に評価することです。

工場やプラントでは以下のような様々な条件にさらされます。

  • 圧力変動
  • 温度変化
  • 振動
  • 繰り返しの分解・組立
  • 腐食環境

そのため単純な耐圧性能だけではなく実際の運用を想定した複数の試験を実施することで継手の信頼性を確認します。


ASTM F1387で規定されている主な試験

ASTM F1387では継手の性能を確認するために以下の試験が規定されています。

気密試験(Pneumatic Proof Test) 継手接続部から漏れが発生しないことを確認する試験です。

耐圧試験(Hydrostatic Proof Test) 規定圧力を加え継手が正常な状態を維持できるかを確認します。

脈動試験(Impulse Test) 圧力変動を繰り返し加え長期使用時の耐久性を評価します。

曲げ疲労試験(Flexure Fatigue Test) 振動や繰り返し荷重による疲労への耐性を確認します。

引張試験(Tensile Test) チューブが引っ張られた際に継手が保持力を維持できるかを確認します。

破壊試験(Hydrostatic Burst Test) 限界圧力まで加圧し破損状態や安全率を確認します。

繰り返し組立試験(Repeated Assembly Test) 分解・再組立を繰り返した後も性能を維持できるかを確認します。

回転曲げ試験(Rotary Flexure Test) 繰り返し振動や曲げ応力に対する耐久性を評価します。

応力腐食試験(Mercurous Nitrate Test) 応力腐食割れに対する耐性を確認します。


補足試験(Supplementary Requirements)とは

ASTM F1387には標準試験に加えて補足試験も規定されています。代表的なものは以下の通りです。

  • 熱サイクル試験
  • 高温浸漬試験
  • 応力腐食試験
  • 衝撃試験
  • 火災試験
  • 振動試験

これらは必須ではなく購入者が要求した場合に実施される追加試験です。そのため同じ「ASTM F1387適合」を謳う製品でも実施している補足試験の範囲はメーカーによって異なる場合があります。


試験結果を公開しているメーカーと公開していないメーカー

ASTM F1387への適合を謳っているメーカーでも試験結果の公開状況は異なります。

試験結果を公開しているメーカー 試験成績書・試験レポートを公開または提供しているメーカーは製品の性能に自信を持っている証拠です。顧客が客観的なデータをもとに判断できるため信頼性が高いと言えます。

試験結果を公開していないメーカー 「ASTM F1387準拠」と謳っていても試験結果を公開していないメーカーもあります。この場合は実際にどの試験項目をどの条件で実施したかが不明です。

さらに注意が必要なのは試験結果を公開していても全試験項目を実施しているとは限らないという点です。耐圧試験のみ実施して「ASTM F1387適合」と表示しているケースや一部のサイズのみ試験を実施しているケースもあります。


ASTM F1387適合だけで品質は判断できない

ここで注意したいのがASTM F1387はあくまで性能試験規格であるという点です。

ASTM F1387では継手の性能を評価できますが以下については評価する規格ではありません。

  • 製造工程の管理体制
  • 材料トレーサビリティ
  • 品質保証体制
  • 工場監査体制

そのためASTM F1387への適合は重要な判断材料の一つですがそれだけで製品品質の全てを判断することはできません。製品選定時には実績や品質保証体制も合わせて確認することが重要です。


製品選定時に確認すべきポイント

チューブ継手・計装継手を選定する際はメーカーへ以下の内容を確認することをお勧めします。

  • ASTM F1387の試験を実施しているか
  • 試験成績書・試験レポートを提供できるか
  • 補足試験を実施しているか
  • 使用条件に近い試験実績があるか
  • 品質保証体制・材料トレーサビリティを確保しているか

試験データを明確に提示できるメーカーほど客観的な根拠をもとに製品選定を行うことができます。


まとめ

  • ASTM F1387はチューブ継手の性能を評価するためのASTM規格
  • 耐圧・脈動・振動・引張など複数の試験項目が規定されている
  • 補足試験の実施範囲はメーカーによって異なる
  • 試験結果を公開しているメーカーの方が客観的な判断ができる
  • ASTM F1387は性能試験規格であり品質保証規格ではない
  • 製品選定時は試験データだけでなく品質保証体制・実績も確認することが重要

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