音響カメラのメーカー一覧――主要5社の特徴と選び方

圧縮空気・エア漏れ

音響カメラの導入を検討している方から「どのメーカーを選べばいいかわからない」という相談をよく受けます。この記事では国内外の主要メーカー5社の特徴と選び方を解説します。


音響カメラの主要メーカー一覧

現在日本で入手できる音響カメラの主要メーカーは以下の5社です。

  • FOTRIC
  • FLIR(Teledyne FLIR)
  • FLUKE
  • JFE(JFEエンジニアリング)
  • HIKMICRO
対応 一部対応 非対応
メーカー 主なモデル 周波数帯域 マイク数 測定距離 放電検知 特徴・強み
FOTRIC推奨
音響・サーモ専門メーカー
TD2e Kit H4 / H6 VMiX H7 2k〜100kHz
帯域設定自由
64〜345
6モデル以上
最大300m
H4以上
幅広いラインナップ 手の届く価格帯 音響+サーモ統合モデル 広帯域
FLIR
Teledyne FLIR(米)
Si1-LD Si2-Pro 2k〜100kHz 96〜 最大130m
一部非対応
サーモカメラの世界的ブランド 既存FLIR機器との統一
FLUKE
米国計測機器メーカー
ii900 ii910 2k〜52kHz
帯域が狭め
64 最大120m
ii910以上
電気系統の点検に強い 世界的ブランド 重量2kg超
JFE
JFEエンジニアリング(国産)
MK-750ST 40kHz固定
帯域調整不可
最大20m 国産メーカー 日本語サポート充実 測定距離が短い
HIKMICRO
HIKVISION傘下(中国)
AI56 AI76 2k〜96kHz 64〜136 要確認
AI56から対応
エントリーから放電検知対応 積極的な製品展開

※ 本表は公開情報をもとにした概算比較です。詳細仕様は各メーカーにお問い合わせください。


各メーカーの特徴

①FOTRIC

音響カメラとサーモカメラの両方を製造する専門メーカーです。

最大の特徴は幅広いラインナップです。エントリーモデルのTD2e Kitから最高性能モデルのH7まで6モデル以上を展開しています。他のメーカーが2モデル前後のラインナップにとどまる中でFOTRICは用途・予算・現場環境に合わせた選択が可能です。

また従来数百万円が当たり前だった音響カメラを手の届く価格帯で提供しています。全モデルが2k〜100kHzの広帯域に対応しており騒音環境での周波数帯域設定が柔軟です。音響とサーモを1台に統合したVMiXシリーズは世界唯一のモデルです。

向いている現場 エア漏れ検知から放電検知・広大なプラントの点検まで幅広い用途に対応したい現場。コストを抑えながら高性能を求める現場。


②FLIR(Teledyne FLIR)

サーモカメラで世界的なシェアを持つアメリカのメーカーです。音響カメラはSiシリーズを展開しています。

サーモカメラとの連携を重視した設計が特徴です。既にFLIRのサーモカメラを使用している現場では操作性・データ管理の面でメリットがあります。ただし放電検知は一部モデルで非対応です。

向いている現場 既にFLIRのサーモカメラを使用しており機器を統一したい現場。


③FLUKE

電気・電子測定器で世界的なブランドを持つアメリカのメーカーです。音響カメラはiiシリーズを展開しています。

電気系統の点検に強みを持つブランドイメージがあります。ただし周波数帯域が2k〜52kHzと他社より狭く騒音環境での柔軟な対応に制約があります。重量が2kg超と重めで長時間の点検作業では注意が必要です。

向いている現場 FLUKEの測定器を既に使用しており機器を統一したい現場。電気設備の点検が中心の現場。


④JFE(JFEエンジニアリング)

国産メーカーとして日本市場での実績があります。

日本語サポートが充実している点が強みです。ただし周波数帯域が40kHz固定のため騒音環境に合わせた帯域調整ができません。測定距離が最大20mと他社より短く大規模施設での使用に制約があります。

向いている現場 国産メーカーにこだわりがある現場。比較的小規模な設備の点検が中心の現場。


⑤HIKMICRO

中国・杭州に本拠を置くHIKVISIONの子会社です。AIシリーズを展開しています。

エントリーモデルのAI56から放電検知に対応している点が特徴です。ただし外観・スペックが他社製品と酷似したモデルが存在するため購入前に製造元・品質管理体制を確認することが重要です。

向いている現場 エントリーモデルで放電検知も実施したい現場。


メーカー比較表

メーカーラインナップ周波数帯域放電検知測定距離特徴
FOTRIC6モデル以上2k〜100kHzH4以上◎最大300m幅広いラインナップ・手の届く価格
FLIR2〜3モデル2k〜100kHz一部✕最大130mサーモとの連携
FLUKE2〜3モデル2k〜52kHz最大120m電気系統に強い
JFE1〜2モデル40kHz固定最大20m国産・日本語サポート
HIKMICRO2モデル2k〜96kHz記載なしエントリーで放電対応

選び方のポイント

①用途で選ぶ エア漏れのみ → FOTRIC TD2e Kit・HIKMICRO AI56 エア漏れ+放電検知 → FOTRIC H4以上・FLUKE ii910 音響+サーモを1台で → FOTRIC VMiX

②価格で選ぶ 手の届く価格帯から始めたい → FOTRIC TD2e Kit 予算を抑えて放電検知も必要 → HIKMICRO AI56

③騒音環境で選ぶ 騒音が激しい現場 → FOTRIC(広帯域・帯域設定が柔軟) 騒音がそれほど激しくない → どのメーカーでも対応可能

④既存機器との統一で選ぶ FLIRのサーモを使用中 → FLIR FLUKEの測定器を使用中 → FLUKE


まとめ

  • 音響カメラの主要メーカーはFOTRIC・FLIR・FLUKE・JFE・HIKMICROの5社
  • FOTRICは幅広いラインナップと手の届く価格帯が強み
  • FLIRとFLUKEは既存機器との統一を重視する現場に向いている
  • JFEは国産メーカーだが周波数固定・測定距離の制約がある
  • HIKMICROはエントリーモデルから放電検知に対応している
  • 用途・予算・騒音環境・既存機器との兼ね合いで選定することが重要

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