スチームトラップ診断を内製化する――外注・メーカー依存から脱却して年間コストを削減する方法

スチームトラップの診断・管理をメーカーや外部業者に依存している工場は多いです。しかし診断技術と適切な機器があれば内製化は十分可能です。この記事では内製化のメリットとその進め方を解説します。

現状:多くの工場が外注・メーカー依存

スチームトラップの診断・管理の現状は以下の通りです。

メーカーによる定期点検 トラップメーカーが年1〜2回の定期点検を実施します。点検費用は1回あたり数十万〜数百万円になるケースもあります。

外部業者への委託 専門の設備診断業者に点検を委託します。費用はメーカー点検と同程度かそれ以上になることもあります。

問題点

  • 点検頻度が低く故障を見逃しやすい
  • 点検費用が高い
  • 点検結果の詳細が現場に蓄積されない
  • 故障から点検まで時間がかかり蒸気ロスが続く

内製化のメリット

①点検頻度を大幅に増やせる 外注では年1〜2回が限界です。内製化すれば月1回・週1回と頻度を自由に設定できます。点検頻度が上がるほど故障の早期発見につながります。

②コストを削減できる 外注費用が年間100万円の場合、サーモカメラを導入して内製化すれば数年以内に投資回収できます。その後は点検コストが大幅に削減されます。

③現場にノウハウが蓄積される 自社担当者が診断を繰り返すことで設備固有の正常パターン・異常パターンの知識が蓄積されます。外注業者には持てないノウハウです。

④タイムリーな対応ができる 故障を発見したらすぐに対応できます。外注では次回点検まで蒸気ロスが続くケースがあります。

⑤データを一元管理できる 点検記録を自社で管理することで長期トレンドの分析が可能になります。


内製化に必要なもの

①サーモグラフィカメラ スチームトラップ診断に必要な基本機器です。高温蒸気配管の測定に対応した測定範囲(550℃以上推奨)のモデルを選定します。FOTRICのTK5〜TK8は全モデル550℃まで対応しています。

②基礎知識の習得 トラップの種類・動作原理・故障パターンの基礎知識が必要です。メーカーの技術資料・現場での実習で習得できます。

③点検手順書の整備 誰が点検しても同じ結果が出るよう手順を文書化します。

④記録管理の仕組み 点検結果を継続的に記録・管理する仕組みを作ります。


内製化の進め方

Step1:現在の外注コストを整理する 年間の外注点検費用・メーカー点検費用を全て洗い出します。

Step2:工場内のトラップ数を把握する まず棚卸しをします。設置場所・型式・使用蒸気圧力をリスト化します。トラップ数が把握できていない工場が多いですが、これが内製化の第一歩です。

Step3:サーモカメラを導入する 用途に合ったモデルを選定します。導入前に現場デモで使いやすさを確認することをお勧めします。

Step4:まず重要トラップから始める 全トラップを一度に診断しようとせず、蒸気ロスのコストインパクトが大きい重要トラップから始めます。

Step5:定期点検サイクルを確立する 点検頻度・手順・記録方法を標準化して定期的な点検サイクルを確立します。


内製化とメーカー点検の使い分け

内製化が進んでもメーカー点検が有効なケースがあります。

内製化が向いている業務

  • 日常的なスクリーニング点検
  • 異常の早期発見
  • 修繕後の効果確認

メーカー・外注が向いている業務

  • 初回の全数診断・棚卸し
  • 複雑な故障原因の特定
  • トラップの選定・仕様決定

日常的な点検は内製化してコストを下げ、専門的な判断が必要な場合のみ外注するという使い分けが合理的です。


投資対効果の試算

前提条件

  • 工場内のトラップ数:100個
  • 現在の外注点検費用:年間150万円
  • オープン故障トラップ:5個(発見が遅れて年間50万円の蒸気ロス)

内製化後

  • サーモカメラ導入コスト:お問い合わせください
  • 外注費用削減:年間150万円
  • 早期発見による蒸気ロス削減:年間50万円
  • 年間削減効果:約200万円

多くの場合1〜2年以内に投資回収できる計算になります。


まとめ

  • 多くの工場がスチームトラップ診断をメーカー・外注に依存している
  • 内製化で点検頻度を上げ・コストを削減し・ノウハウを蓄積できる
  • サーモカメラがあれば専門知識がなくても診断を始められる
  • まずトラップの棚卸しと重要トラップの特定から始める
  • 日常点検は内製化・専門的判断は外注という使い分けが合理的
  • 年間削減効果200万円以上の工場では1〜2年で投資回収できるケースが多い

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