音響カメラで放電を検知する――電気設備の絶縁劣化を早期発見する方法

電気設備の絶縁劣化による部分放電は、放置すると火災・停電・重大事故につながります。しかし部分放電は目視では発見できず、従来の検知方法は高価な専用機器が必要でした。音響カメラを使えば、エア漏れ検知と同じ機器で放電検知も同時に実施できます。この記事では音響カメラによる放電検知の原理と実務的な手順を解説します。

部分放電とは何か

部分放電とは、電気設備の絶縁体の一部が劣化し、局所的に放電が発生する現象です。完全な絶縁破壊ではないため、外見上は正常に見えます。しかし放置すると絶縁破壊が進行し、最終的には地絡・短絡・火災につながります。

部分放電が発生しやすい箇所は以下の通りです。

  • 高圧ケーブルの接続部
  • 変圧器・開閉器
  • がいし・碍管
  • 電動機の巻線

なぜ音響カメラで放電を検知できるか

部分放電が発生すると、超音波帯域(数十kHz〜数百kHz)の音波が発生します。音響カメラはこの超音波を可視化することで、放電箇所を画面上に表示できます。

FOTRICの音響カメラは2k〜100kHzの周波数帯域に対応しており、部分放電の検知に必要な帯域をカバーしています。


エア漏れ検知との違い

項目エア漏れ検知放電検知
主な周波数帯域20〜60kHz40〜100kHz
測定距離0〜60m0〜60m
検知の難易度比較的容易やや難しい
騒音の影響受けにくい受けにくい

放電検知はエア漏れ検知より高い周波数帯域を使用します。FOTRICの機種は全機種100kHz対応のため、両方の用途に対応できます。


点検手順

Step1:点検対象と周波数帯域を設定する 放電検知では40kHz以上の高周波帯域に設定します。エア漏れ検知と同じ設定では放電音を捉えられない場合があります。

Step2:高圧設備エリアを安全距離からスキャンする 音響カメラは離れた場所から点検できるため、高圧設備への接近リスクを最小化できます。TD2e Kitで最大60m、上位機種では200m以上の距離から検知可能です。

Step3:高輝度スポットを記録する 画面上に明るく表示されている箇所が音源です。複数箇所をスキャンして記録します。

Step4:サーモカメラと組み合わせて確認する 放電箇所は発熱を伴うことが多いです。音響カメラで放電を発見した後、サーモカメラで温度異常を確認することで診断精度が上がります。VMiXシリーズは音響とサーモが1台に統合されているため、この確認が同時にできます。


点検頻度の目安

設備の重要度点検頻度
重要設備(主変圧器・主開閉器)月1回以上
一般設備(分岐開閉器・ケーブル)3〜6ヶ月に1回
低リスク設備年1回

FOTRICの放電検知性能

モデル放電検知備考
TD2e Kitエア漏れ・ガスリーク検知専用
H4 miniエア漏れ・ガスリーク検知専用
H4放電検知対応の最小モデル
H6高精度放電検知
VMiX音響+サーモ統合・放電検知対応

まとめ

  • 部分放電は絶縁劣化の前兆で放置すると火災・停電につながる
  • 音響カメラは超音波帯域で放電音を可視化できる
  • エア漏れ検知と同じ機器で放電検知も実施できる
  • 高圧設備に近づかず安全距離から点検できる
  • サーモカメラと組み合わせることで診断精度が上がる

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