モーター・ベアリングの異常発熱をサーモカメラで発見する手順と温度判定基準

モーターやベアリングの故障は突発停止につながる重大なトラブルです。しかし異常の前兆として必ず「発熱」が現れます。サーモグラフィカメラを使えば非接触・非停止で異常発熱を早期発見できます。この記事では具体的な点検手順と判定基準を解説します。

なぜモーター点検にサーモグラフィが有効か

モーター・ベアリングの異常発熱の原因は主に以下の通りです。

  • ベアリングの潤滑不足・劣化
  • 過負荷運転
  • 軸ずれ・アンバランス
  • 冷却フィンの目詰まり
  • 絶縁劣化

これらは全て発熱という形で現れます。振動計測と組み合わせることでより精度の高い診断が可能ですが、サーモグラフィだけでも十分な早期発見が可能です。


点検手順

Step1:正常時の基準温度を記録する

予知保全で最も重要なのは「比較」です。まず正常運転時の温度を記録しておきます。記録すべき項目は以下です。

  • 測定日時・環境温度
  • 運転条件(負荷・回転数)
  • モーター本体温度
  • ベアリング部温度
  • 冷却フィン温度

Step2:定期的に同条件で測定する

同じ運転条件・同じ測定距離・同じアングルで定期的に測定します。月1回を基本として、異常が疑われる場合は週1回に増やします。

Step3:温度変化のトレンドを確認する

前回との温度差・過去の記録との比較でトレンドを把握します。急激な温度上昇は異常のサインです。


判定基準

環境温度からの上昇温度で判定

上昇温度判定対応
40℃以下正常範囲定期監視継続
40〜60℃要注意監視頻度を上げる
60〜80℃異常早期点検・原因調査
80℃以上重度異常早急な対応が必要

同種設備との比較で判定

同じ仕様のモーターが複数台ある場合は、同条件で比較します。10℃以上の差がある場合は要注意です。


測定時の注意点

①放射率の設定 モーターの塗装面は放射率0.90〜0.95程度です。金属素地が露出している部分は放射率が低くなるため注意が必要です。

②測定距離と角度 ベアリング部は小さい部品のため、できるだけ近距離から測定します。TK6 Kitのように最小焦点距離が短いモデルが有利です。

③運転条件の統一 測定のたびに負荷条件が異なると比較の意味がなくなります。できるだけ同じ運転条件で測定してください。

④冷却フィンの確認 モーター本体だけでなく冷却フィンの目詰まりによる温度上昇も確認します。


サーモグラフィと振動計測の組み合わせ

サーモグラフィは発熱を検知しますが、発熱の原因(潤滑不足・軸ずれ・アンバランスなど)を特定するには振動計測との組み合わせが有効です。

  • サーモグラフィ:異常の早期発見・スクリーニング
  • 振動計測:異常原因の特定・余寿命推定

両方を組み合わせることで予知保全の精度が大幅に上がります。


まとめ

  • モーター・ベアリングの異常は必ず発熱として現れる
  • 正常時の基準温度を記録して比較することが重要
  • 環境温度からの上昇60℃以上は早期点検が必要
  • 同種設備との比較で10℃以上の差は要注意
  • 振動計測と組み合わせることで診断精度が上がる

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