「音響カメラはエア漏れ以外にも使えるか」という質問をよく受けます。結論から言うとガスであれば基本的に検知できます。ただし流体の種類によって検知難易度が変わります。この記事では音響カメラで検知できる流体の種類と難易度を解説します。
なぜガスであれば検知できるか
音響カメラがリークを検知できる原理は「乱流による超音波の発生」です。
ガスが小さな穴や隙間から漏れる際に乱流が発生します。この乱流が超音波帯域の音波を発生させます。音響カメラはこの超音波を可視化することでリーク箇所を特定します。
この原理はガスの種類に関わらず共通です。つまりガスであれば基本的に音響カメラで検知できます。
流体別の検知難易度
| 流体の種類 | 検知難易度 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 圧縮空気 | 易しい | 工場全般 |
| 窒素 | 易しい | 半導体・食品・化学 |
| 炭酸ガス(CO2) | 易しい | 食品・飲料・溶接 |
| 水素 | 中程度 | 燃料電池・化学プラント |
| 天然ガス | 中程度 | 発電所・化学プラント |
| 蒸気 | 中程度 | 工場全般 |
| 真空(外気流入) | 難しい | 半導体・化学 |
| 液体 | 難しい〜不可 | 配管全般 |
流体別の詳細解説
①圧縮空気(最も検知しやすい) 音響カメラの最も基本的な用途です。工場の標準圧力(0.5〜0.7MPa)では十分な超音波が発生するため検知が容易です。騒音90dB以上の環境でも検知できた実績があります。
②窒素 圧縮空気と同様に検知できます。半導体工場・食品工場・化学プラントで窒素パージ配管のリーク検知に有効です。圧縮空気と比べて検知難易度に大きな差はありません。
③炭酸ガス(CO2) 食品・飲料工場での炭酸封入設備・溶接用シールドガスのリーク検知に使えます。圧力がある状態であれば検知できます。
④水素 水素は分子が極めて小さく拡散が速いという特性があります。漏れた水素はすぐに拡散するため音響カメラで検知できる時間が短い場合があります。ただし配管・継手からの漏れは圧力がある状態であれば検知できます。水素の場合は可燃性・爆発性があるため安全距離からの点検が特に重要です。
⑤天然ガス・LPG 化学プラント・発電所の配管からの漏れ検知に使えます。可燃性ガスのため安全管理に注意が必要です。漏れ箇所に近づかずに離れた場所からスキャンできる音響カメラの特性が特に活きます。
⑥蒸気 蒸気漏れも超音波を発生させるため音響カメラで検知できます。ただし蒸気は可視化されているケースもあり目視でも確認できる場合があります。音響カメラは目視では確認しにくい微小な蒸気漏れや高所配管の漏れ検知に有効です。
⑦真空(外気流入) 前述の通り外気が真空系内に流入する場合も超音波が発生します。ただしエアリークより超音波強度が小さいため検知難易度が上がります。高真空・比較的大きなリークであれば検知できる可能性があります。
⑧液体 液体のリークは超音波をほとんど発生させないため音響カメラでの検知は基本的に難しいです。液体リークの検知にはサーモグラフィ(温度差の検知)の方が有効です。
検知難易度に影響する要因
流体の種類以外にも以下の要因が検知難易度に影響します。
①圧力差 内外の圧力差が大きいほど乱流が強くなり超音波が多く発生します。高圧ほど検知しやすいです。
②漏れ箇所のサイズ 漏れ箇所が大きいほど超音波が強くなり検知しやすくなります。微小なピンホールは難易度が上がります。
③騒音環境 背景騒音が大きいほど検知難易度が上がります。高マイク数モデルの方が騒音分離性能が高く有利です。
④測定距離 距離が遠いほど超音波が減衰して検知難易度が上がります。
業種別の主な活用シーン
| 業種 | 検知対象流体 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 半導体工場 | 圧縮空気・窒素・真空 | 配管リーク・真空チャンバー |
| 化学プラント | 圧縮空気・窒素・天然ガス・蒸気 | 配管・バルブ・フランジ |
| 食品工場 | 圧縮空気・窒素・CO2・蒸気 | 配管・炭酸封入設備 |
| 自動車工場 | 圧縮空気 | エアツール・配管 |
| 発電所 | 圧縮空気・蒸気・天然ガス | 配管・バルブ |
まとめ
- ガスであれば基本的に音響カメラで検知できる
- 圧縮空気・窒素・CO2は検知しやすい
- 水素・天然ガス・蒸気は中程度の難易度
- 真空リークは難易度が高い
- 液体リークは音響カメラでの検知が難しくサーモグラフィが有効
- 圧力差・漏れサイズ・騒音・距離が検知難易度に影響する
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