「工場全体でどれくらいエアが漏れているか」を把握したいが、個別の漏れ箇所を全部特定する前に全体像を知りたい。そんな時に使えるのが「無負荷時間計測法」です。特別な機器は不要で、コンプレッサーの制御盤データだけで算出できます。
無負荷時間計測法とは
コンプレッサーはタンク内の圧力が設定値に達すると「アンロード(無負荷)」状態になり、圧力が下がると「ロード(負荷)」状態に戻ります。
生産設備が完全に停止している時間帯(休日・深夜など)にこのサイクルを計測すると、ロードしている時間の比率がそのまま漏れ率の近似値になります。
なぜなら生産停止中はエアを消費する設備がないため、コンプレッサーが動いている分は全て漏れを補っているからです。
計算式
漏れ率[%] = ロード時間 ÷(ロード時間 + アンロード時間)× 100
例:ロード30秒・アンロード70秒のサイクルが繰り返される場合
漏れ率 = 30 ÷(30 + 70)× 100 = 30%
これは供給量の30%が漏れとして失われていることを意味します。
計測手順
①計測タイミングを選ぶ 全生産設備が停止している時間帯を選びます。土曜深夜・日曜・長期休暇中が理想です。自動ドア・空調など常時使用設備がある場合は事前に確認してください。
②コンプレッサーをアンロード制御モードに設定 インバータ制御のコンプレッサーの場合は一定圧力で制御されるため、オン・オフ制御タイプの機種で実施するのが基本です。
③ロード・アンロードのサイクルを計測 タイマーでロード時間とアンロード時間を10〜20サイクル分記録します。制御盤にログ機能がある場合はそのデータを使えます。
④漏れ率を算出する 上記の計算式に当てはめて漏れ率を算出します。
⑤年間損失コストを計算する コンプレッサーの定格吐出量・漏れ率・電力単価から年間損失コストを算出します。
漏れ率と年間損失の目安
コンプレッサー定格吐出量100L/min・電力単価25円/kWh・8,000時間稼働の場合
| 漏れ率 | 年間損失電力 | 年間損失コスト |
|---|---|---|
| 10% | 約880kWh | 約22,000円 |
| 20% | 約1,760kWh | 約44,000円 |
| 30% | 約2,640kWh | 約66,000円 |
| 50% | 約4,400kWh | 約110,000円 |
※定格吐出量が大きいコンプレッサーでは損失額が数十倍になります。
漏れ率の業界目安
一般的に以下が目安とされています。
| 漏れ率 | 評価 |
|---|---|
| 10%以下 | 良好な管理状態 |
| 10〜20% | 改善の余地あり |
| 20〜30% | 要対策 |
| 30%以上 | 早急な対策が必要 |
多くの工場で計測してみると30%以上という結果が出ることも珍しくありません。
計測後の次のステップ
漏れ率がわかったら次は漏れ箇所の特定です。
無負荷時間計測法は「全体の損失規模」を把握するツールです。個別の漏れ箇所を特定するには音響カメラや超音波検知器を使った点検が必要です。
特に漏れ率が20%を超えている場合は、音響カメラによる全数点検を実施することをお勧めします。広範囲を短時間でスキャンできるため、効率的に漏れ箇所を絞り込めます。
まとめ
- 無負荷時間計測法はコンプレッサーの制御盤データだけで漏れ率を算出できる
- 生産停止中にロード・アンロードのサイクルを計測するだけ
- 漏れ率30%以上は早急な対策が必要
- 全体の損失規模把握後は音響カメラで個別漏れ箇所を特定する
エア漏れ率の計測方法・音響カメラによる漏れ箇所特定のご相談はお気軽にお問い合わせください。

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